
SAFTとは?暗号資産発行前の資金調達方法を実例を用いてわかりやすく解説!

プロトレーダー Trader Zのイチ押しポイント!
- SAFT(Simple Agreement for Future Tokens)はトークン発行前に資金調達ができる契約のこと
- プロジェクト側が未開発段階でも投資家から開発資金を調達しやすい仕組みとして注目
- プロジェクトを設計、投資家とSAFT契約を締結して資金を調達し、開発完了後にトークンを発行・配布
- 今でも多くのブロックチェーンプロジェクトがSAFTを新興プロジェクトの資金調達として活用
- スタートアップが法的に比較的安全と考えられる枠組みで資金を集められる仕組み
- Protocol Labs社が分散型ストレージプロジェクトFilecoinの資金調達の際に導入したことで一気に注目
- トークン発行前に投資契約を結ぶので、未登録証券販売にあたるリスクを低減できる可能性
- 2017年にはFilecoinはSAFTを利用しておよそ2.57億ドルもの大規模調達に成功
- 2020年にTelegramのTONがSECから販売差し止め命令を受け、SAFTが規制を回避しきれなかった事例も
- SAFTとICO/IDO/IEOの違いは販売者対象者/購入の容易さ/法的リスクへの配慮/資金調達の速さなどが挙げられる
- SAFT:プロジェクトが未完成でも、大手投資家から数百万ドルの資金調達する方法
- ICO:企業が独自トークンを販売して資金調達する方法、規制が不明瞭でリスクが高い
- IDO:分散型取引所でトークンを販売し、即時取引と高い流動性が特徴
- IEO:中央集権型取引所がサポートするトークン販売、規制が強化され信頼性が高い
Trader Z現実的にSAFTが抱える課題は、トークン発行までに実態が伴わないリスク(プロダクト未完成、開発遅延など)、投資家が「証券」としての保護を受けづらい点、コミュニティ形成が不十分なままマーケットに出てしまうことによる価格崩壊など列挙するとキリがありません。
たとえば、「開発資金」として10億円規模のSAFT調達をしたプロジェクトが、トークン発行前に瓦解した例は数多くあります。
これは単なる法務の問題ではなく、トークンが実体のない“夢の先物”として流通するリスク構造にあると私は見ています。



結論として、SAFTは、法制度が成熟する前の“過渡期的な資金調達手段”として、確かに一定の役割を果たしました。
しかし、いまWeb3が本格的な金融・資本市場の文脈に入りつつある中で、SAFTの活用はリスク・コンプライアンスの観点から再評価されるべき時期に来ているのではないでしょうか?


Trader Z
ディーリングアドバイザー
世界第3位の仮想通貨取引所であるMEXCのトレーダーランキングにおいて、常に上位にランキングされる世界有数のトレーダー。
2024年10月には1,229,864,919.71USDT(日本円に換算して 1920 億円)の取引を行い、第1位となる。2024年12月にGFA Capital社が行う暗号資産ディーリング業務のアドバイザーに就任。


監修 Trader Z
ディーリングアドバイザー
世界第3位の仮想通貨取引所であるMEXCのトレーダーランキングにおいて、常に上位にランキングされる世界有数のトレーダー。
2024年10月には1,229,864,919.71USDT(日本円に換算して 1920 億円)の取引を行い、第1位となる。2024年12月にGFA Capital社が行う暗号資産ディーリング業務のアドバイザーに就任。
SAFT(Simple Agreement for Future Tokens)とは?
SAFTの定義と基本構造
SAFTとは、将来発行されるトークンを投資家に購入する権利として契約を交わす仕組みです。
もう少し噛み砕いて説明すると、プロジェクトがトークンをまだ発行していない段階で、投資家に対して「完成したらトークンを割安で提供します」という約束をする形です。
資金提供を受ける段階ではトークン自体が存在していないので、法的にも「実際の証券(株式)や仮想通貨トークンそのもの」を販売したとは言いにくい部分があり、ICOのように未登録証券と疑われるリスクをある程度抑えられる可能性があるとされています。
ただし、SAFTは投資契約としての性質が強いため、米国では私募(プライベートプレイスメント)扱いになる場合が多いです。
認定投資家(アクレディテッド・インベスター)に限って募集を行うことで、アメリカの証券法Regulation Dなどのルールに従いながら資金を集められることがメリットといえます。
それでも最終的に、プロジェクトが発行するトークンの性質がSECから「実質的には証券とみなされる」と指摘される可能性は残るため、絶対に安全だと言い切ることはできません。
この契約を結ぶタイミングでは、具体的なトークンの発行枚数や購入価格、ロックアップ期間、トークン配布の条件などが定められます。
たとえば、プロジェクトが一定のマイルストーンに到達したら投資家にトークンを渡すと約束する場合や、単純にネットワークが起動してから一定期間後に配布する場合などが考えられます。
いずれにしても、投資家はプロジェクトが無事にローンチを迎えた際に、一般販売よりも安い価格でトークンを受け取る権利を獲得するという仕組みになっています。
SAFTの歴史的背景と誕生経緯
SAFTが広まったのは、2017年前後のICOブームをきっかけとしています。世界中で仮想通貨関連プロジェクトが誕生し、多くの投資家がトークンを取得することでプロジェクトを支援していました。しかし、ICOは不特定多数から資金を集めるため、詐欺的な案件や規制リスクが指摘されるようになりました。
特にアメリカのSECは、ICOで売られるトークンの多くが実質的に「証券」ではないかと問題視し、取り締まりを進めた経緯があります。
そのような中、スタートアップが法的に比較的安全と考えられる枠組みで資金を集められるように考案されたのがSAFTです。
厳密には、Protocol Labs社が分散型ストレージプロジェクトFilecoinの資金調達の際に導入したことで一気に注目が集まりました。
この方法であれば、トークンがまだ世に出ていない段階で投資契約を結ぶので、ICOを直接行うよりもSECからの「未登録証券販売」にあたるリスクをやや低減できるかもしれないという期待がありました。
2017年〜2018年頃の黎明期
2017年はICOバブルと呼ばれるほど多くのプロジェクトが資金調達を行った時期です。
そのなかで、FilecoinはSAFTを利用しておよそ2.57億ドルもの大規模調達に成功しました。このニュースは当時のブロックチェーン業界でも大きな話題になりました。
さらに、TelegramやKikなど大手SNS系プロジェクトがトークン販売に類似の仕組みを活用していたことで、SAFTという言葉自体が急速に広まったのです。
一方で、SECはICO規制の強化に乗り出し、SAFT方式を用いた場合でも実際には証券に該当する可能性があると警告していました。2018年にはFINRA(米金融業規制機構)がSAFTに対して注意喚起を出したこともあり、SAFTだから絶対に安全というわけではないという認識が高まった時期でもあります。
2020年以降の展開
2020年からDeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)が注目を集めるようになりました。
それに伴い、トークンエコノミーを設計するプロジェクトが増え、初期段階でベンチャーキャピタルから資金を集める際にSAFTがしばしば用いられるようになります。
特にアメリカの大手VCやアジア圏のファンドが、Web3関連プロジェクトへ投資を行うときに好んで利用する手法として定着していきました。
その一方で、TelegramのTONトークンはSECから販売差し止め命令を受けるなど、SAFTを使っていれば完全に規制を回避できるわけではないという事例が生まれました。
結論として、2020年代に入ってからもSAFTは依然として有力な資金調達スキームとして利用されていますが、SECや他国の金融当局も厳しい視点で見ているため、プロジェクト側が慎重に進めなければいけない状況となっています。
SAFTの特徴と他の資金調達方法(ICO/IDO/IEO)との違い
SAFTが注目される理由
SAFTは、トークン発行前に必要な開発資金を手に入れる手段として優れています。
プロジェクトがまだ形になっていない段階でも、大手の投資家から一気に数百万ドル単位の資金を調達できる可能性があるため、特に斬新なアイデアを持つスタートアップやWeb3関連事業が好んで利用してきました。
これは、株式を発行せずに開発を進められるという点でも大きな魅力です。
株式発行による経営権の希薄化を嫌う創業者にとっては、SAFTで資金を集めることが効果的な場合があります。
もう一つの理由として、SAFTは私募扱いであることが多いため、不特定多数に一度にトークンを販売するICOに比べて規制当局から目を付けられにくいと期待された時期がありました。
結果的には、SECがSAFT方式でも違法販売だと判断するケースを示したことで、万能な方法とは言えないことが明らかになっています。
しかし、それでも「将来トークン」を前提とした契約という仕組み自体は残っており、投資家と発行者が合意しやすいフレームワークになっているため、現在も廃れる気配は見られません。
規制への対処(米国SECなど)
SAFTを導入すると、あらかじめ投資家を認定投資家などに限定して資金を募集できます。
そのため、ICOのように「だれでも手軽にトークンが買える」状態にはならず、登録義務を一部回避できると考えられてきました。
ただし、トークンが実際に発行され流通を始めた段階で、それらのトークンが証券に該当すると認定されれば、SECが法的措置を取る可能性があります。
実際にTelegramやKikの事例では、途中まで私募で調達していたとしても「最終的に一般ユーザーにトークンが流通する構造になっているなら、実質的には有価証券の公募ではないか」と疑われました。
このような規制リスクは今後も残ると考えられ、SAFTを利用するからといって常に安心とは限りません。
トークン配布のタイミング
SAFTでは、投資家がトークンを受け取るタイミングがプロジェクトのマイルストーン達成後やメインネットローンチ以降に設定されることが多いです。
これは、トークンがまだ存在しない状態で販売するとICOのように見なされやすい一方で、「あくまで投資契約上の将来権利を提供しているだけ」という立場をとりやすくするためです。
また、投資家が一斉に売却しないようロックアップを設定したり、何か月かに分けてトークンを配布したりといった工夫が取り入れられています。
市場価格の急落を防ぎたいと考える発行者にとっては、こうしたベスティング(段階的付与)の仕組みを自由に決めやすい点がメリットといえるでしょう。
ICO・IDO・IEOとの比較
トークンによる資金調達方法としては、過去にICO(Initial Coin Offering)が盛んに行われました。
ICOでは不特定多数の一般投資家にトークンを販売するため、大きな注目を集めた反面、詐欺的案件や規制リスクが増大しました。
その結果、米国ではICOを行うこと自体が困難な雰囲気になり、代替手段としてIDO(Initial DEX Offering)やIEO(Initial Exchange Offering)が登場しました。
IDOは分散型取引所(DEX)上で行う公開セールで、誰もが参加できる点に特徴があります。IEOは中央集権型取引所(バイナンスなど)の運営が審査・管理したうえで行うトークンセールです。
いずれも公開販売であることに変わりはなく、SAFTのように私募として投資契約を結ぶ構造とは異なるため、投資家保護と規制の面でまだ不透明な部分を抱えていると指摘されています。
ICO・IDOのメリット・デメリット
ICOやIDOには、全世界から資金が集まりやすく知名度も急速に拡大する可能性があります。
特にIDOではDEXの特徴を活かして即座にトークンを取引できることが人気につながりました。
ただし、これらは不特定多数に向けて販売するため、SECをはじめとする各国の金融当局から「証券にあたるのではないか」と疑われるリスクが高まります。
一方、SAFTは投資家を限定し、契約ベースで将来のトークン提供を約束する方式であることから、大衆向けの販売にはなりにくいものの、比較的まとまった資金を早期に獲得できるという違いがあります。
投資家も、プロジェクトの実現性や将来価値を判断しやすいと考える場合があり、有力ファンドが積極的に出資するケースも多く見られます。
SAFTとICO/IDO/IEOの違い10選
1. 販売対象者(公募か私募か)
ICO、IDO、IEOはいずれも不特定多数に向けてトークンを販売する公開型の資金調達に該当する場合が多いです。
これに対してSAFTは投資家を限定し、私募(プライベートセール)という形で開発資金を募る点が大きく異なります。
2. 購入の容易さ
ICO、IDO、IEOはインターネット環境があれば誰でも参加できるケースが一般的です。
SAFTは認定投資家やVCなど、一定の条件を満たした投資家と個別契約を結ぶため、一般投資家が容易に参加できるわけではありません。
3. 法的リスクへの配慮
ICO、IDO、IEOは、不特定多数から資金を集めるので未登録証券とみなされる可能性があります。
SAFTは「将来トークンを発行する約束」を投資契約として結ぶ形なので、一部の規制に対してより柔軟に対応できる可能性があると考えられてきました。
ただし、SECなど当局が証券性を認めればリスクが生じる点は同じです。
4. トークン配布のタイミング
ICO、IDO、IEOでは販売と同時期にトークンが発行されることが多いです。
SAFTの場合、トークン発行はプロジェクトがネットワークをローンチした後や一定の開発段階を経た後に行われるため、投資契約時にはトークン自体が存在しない可能性があります。
5. 価格形成の仕組み
ICOやIDOは、上場直後やセール時点で時価がつきやすく、売買が活発に行われるため投機的になりがちです。
IEOでは取引所が上場を管理し、セール後すぐに取引が始まるケースが多いです。
SAFTは私募契約なので、売買市場が立ち上がる前に投資家が将来のトークンを受け取る権利を確保する形になります。
6. 資金調達の速さ
ICOやIDO、IEOは公開セールという特性上、短期間で多額の資金が集まることもあります。
一方SAFTは私募であり、あらかじめ投資家へのプレゼンや契約交渉を行う必要があるので、必ずしも短期間に大量の資金が集まるわけではありません。
もっとも、信頼できる大手VCが迅速に出資を決めるケースもあるので、一概に遅いとも言い切れません。
7. 投資家層の違い
ICO/IDO/IEOは世界中の個人投資家や一般ユーザーが参加することが多いですが、SAFTは機関投資家や認定投資家、あるいは限定的なコミュニティに向けての販売に限定される傾向があります。
資金規模や投資目的が大きく異なる点が特徴です。
8. 規制の対象範囲
公開セール(ICO/IDO/IEO)の場合は、一般から資金を集めるため当局が証券性を厳しく審査する可能性があります。
SAFTは私募扱いの範囲内にとどまるため、証券取引法の一部適用除外が期待されるケースもあります。
ただし当局による最終判断は、実際の契約内容とトークンの性質次第です。
9. ユーティリティトークンかセキュリティトークンか
ICOなどでは「トークンのユーティリティ」を強調して販売することが多いですが、証券的要素を含むかどうかは明確になっていない場合があります。
SAFTの場合は、将来的にユーティリティトークンとして機能する予定のものを前提とする形が多いですが、プロジェクトの実態によっては証券トークンと判断される可能性もあります。
10. 投資家のリスク管理
ICO/IDO/IEOでは、投資家がホワイトペーパーやプロジェクトの評判をもとに自己責任で購入するため、リスクを分散しにくい面があります。
SAFTは限られた投資家を対象とする一方、プロジェクト成功まで長期間資金がロックされる可能性があるため、別種のリスクが存在します。それぞれリターンとリスクのバランスを把握する必要がある点では共通しています。
SAFTにおける発行側と購入側のメリット・デメリット
プロジェクト(発行側)のメリット・リスク
プロジェクト側は、SAFTを利用することで早期に大型資金を確保できるかもしれません。
株式を発行しないため、創業者の持ち株比率が希薄化しないという利点も考えられます。
さらに、投資家層をある程度選定できるので、経営方針に理解のある長期的支援者を集めやすいかもしれません。
他方で、SAFTは法的に完全に安全というわけではなく、SECがその後トークンの実態を証券とみなすことはあり得ます。
また、投資家への配布スケジュールや割引率などを契約で細かく定める必要があるため、煩雑なドキュメント作りに時間がかかる可能性も否定できません。
さらに、プロジェクトが失敗したり大幅にローンチが遅れたりすると、投資家とのトラブルになるかもしれません。
メリットの具体例
SAFTで調達すると、公開前に開発資金が潤沢に用意されるため、技術検証やプロダクト設計に集中しやすくなります。
DeFiプロトコルやNFTプラットフォームの場合、ユーザー向けサービスを充実させてから本格的にトークンを世に出すことができるので、過度に投機的な動きが起きるのを抑えたい発行者にとってはメリットがあります。
さらに、伝統的な株式融資では時間やコストがかかるとされる初期投資ラウンドも、SAFTならブロックチェーン専門の投資家が素早く決断してくれることがあるため、スピード面で好都合という声があります。
デメリットの具体例
規制当局から「実質的にICOと変わらない」と判断されると、多額の罰金やプロジェクト中断を求められる恐れがあります。
たとえばTelegramの事例では、SECが投資契約を経て配布予定だったTONトークンを違法証券販売と指摘し、裁判所もそれに同意しました。
その結果、Telegramは投資家に返金を行い、プロジェクトを断念する事態になりました。
また、投資家との契約が長期に及ぶ場合、プロジェクトが当初予定していたスケジュールどおりに進まない可能性もあります。
サービスがローンチしない状態が長引くと、投資家からの信頼が低下し、その後の資金調達に響くかもしれません。
投資家(購入側)のメリット・リスク
投資家にとっては、将来の有望なプロジェクトのトークンを早期に割引価格で取得できる点が大きな魅力です。
まだ広く知られていないうちにSAFTで契約を結んでおけば、後々トークンが高騰した際に大きなリターンを得られる可能性があります。
特に、Web3関連のベンチャーキャピタルは、SAFTで早期に支援を行うことで将来的にポートフォリオの価値上昇を狙っているようです。
一方で、プロジェクトが失敗すれば投資額がほぼ無駄になってしまうリスクがあり、トークンが発行されないままというケースも考えられます。
早期投資はハイリスク・ハイリターンの性質を帯びるため、初心者が安易に参入するには注意が必要です。
メリットの具体例
トークン配布時に市場価格より安くトークンを手に入れられることで、成功した場合には大きな利益が期待できます。Filecoinの例では、SAFT契約で購入した投資家がネットワークローンチ後、価格が上昇したタイミングで保有トークンを売却して利益を得たケースもありました。
さらに、プロジェクトが大手VCなどから支援を受けていると、後々の資金調達も順調に進みやすく、サービスが世に出る確率が多少高まるかもしれません。
こうした期待を抱いて早期から投資する人も一定数います。
デメリットの具体例
ロックアップ期間中はトークンを売却できないため、プロジェクトの見通しが急に悪化しても損失を回避しにくいです。
投資契約を破棄しようとしても、契約内容によっては簡単に解消できないことがあります。
さらに、規制リスクによってトークンそのものが市場に出ない場合、またはプロジェクトがSECとの法的紛争で継続不能になった場合には、投資家に返金される保証があるとは限りません。
最終的には裁判所の命令次第であり、投資契約の書き方によっては投資家が不利になる可能性もあります。
SAFTはなぜここまで有名になったのか?注目を集めた背景
代表的なプロジェクトの成功事例
SAFTが広く知られるようになったのは、Filecoinをはじめとする大型プロジェクトが注目されたからです。
多数の投資家が短期間で巨額の資金を出資し、後にトークンが市場に出回った際、価格が急上昇したケースも見られました。
特に2017年~2018年頃は、ICO全体が盛り上がっていた時代であり、Filecoin以外にもTelegramやKik、そして後にはDeFiブームのなかでUniswapやCompoundといった有名プロジェクトが前段階で類似の私募形式を採用したことが報じられています。
Filecoinのケース
Filecoinは分散型ストレージの概念を提唱していたProtocol Labs社が開発したプロジェクトです。
2021年にメインネットが稼働し、ネットワーク上でストレージを提供するマイナーにトークンを付与する仕組みを確立しました。
ICOブームの真っ只中にSAFTを用いて2.57億ドルの調達を果たしたことで、SAFTという言葉が世界的に知られるようになります。
投資家から見ると、ネットワークが実際に動き始めてからトークン価格が高騰するかもしれないという期待がありました。
実際には、ローンチ直後に価格が大きく上下する時期もありましたが、長期的には世界中のストレージを分散化する可能性があるプロジェクトとして、今も話題になることがあります。
Filecoinの大規模調達が成功した事実は、SAFTを使った資金調達の有効性を象徴的に示した例といえそうです。
他の大型プロジェクト
Telegramはメッセージアプリとして世界的に利用者を抱えており(2025年月間アクティブユーザー数10億人超え)、TON(Telegram Open Network)と呼ばれるブロックチェーンの立ち上げを目指して資金を募りました。
巨大ユーザーベースを持つ企業がトークンを発行するとあって、当時は大きな注目を浴びましたが、SECが未登録証券として緊急差し止め命令を出し、最終的にプロジェクトは中止されています。
このケースでは、SAFTかSAFTに類似した形式で投資家から資金を集めても、SECの目線では「実態としては有価証券販売に当たるのではないか」という見方が示されました。
一方で成功例も多数あるため、その境界線が明確にはなっていないのが現状です。
特にDeFi分野のプロトコルは、早い段階でVCから大きな支援を受けて開発し、その後にトークンを一般に公開するパターンが少なくありません。
規制当局や投資家の視線
規制当局は、SAFTを含む仮想通貨の資金調達全般に注意を向けてきました。
米国の場合、SECがICOブームを冷やす形で複数のプロジェクトを摘発し、罰金や返金命令を課したことで、暗号資産業界は法的リスクを強く意識するようになりました。
投資家から見ても、SAFTならば安全とは一概に言えません。認定投資家として厳格に契約を結んでいても、プロジェクト側が適切な情報開示をしなかったり、トークンのユーティリティが曖昧なまま販売されたりすると、訴訟に発展する恐れがあります。
アメリカを中心とした法的論争
アメリカでは、Howeyテストと呼ばれる基準でトークンが証券に該当するかどうかが判断される傾向にあります。
このテストで投資契約とみなされれば、基本的には証券登録の義務が生じる可能性があるため、SAFTを使って私募形式で進めたとしても、最終的にはSECの審査対象になり得ます。
TelegramのTONが中止に追い込まれた例は、SAFTがあってもSECの厳しい検証を回避できるわけではないことを証明しています。
ただし、全てのSAFT契約が違法とみなされるわけではなく、条件や内容によってはSECも問題なしと判断することがあり、この点が現在も明確には整理されていません。
他国の対応
アメリカほど厳格な証券法を適用していない国でも、SAFTが利用される場合はあります。
たとえばシンガポールやスイスはブロックチェーン関連の事業を一定程度支援する姿勢を見せており、プロジェクトがSAFTを使って資金調達をするケースもあるようです。
日本においては、金融商品取引法や資金決済法がトークンをどう扱うかによって解釈が異なるため、SAFTの導入例はそれほど多くはないように見えます。
ただし、Web3分野の国内スタートアップがシンガポールなどに拠点を置き、そこでSAFTを使いながら開発を進めるケースが見られます。
SAFTに関する注目ニュース
新興プロジェクトのSAFT活用事例
2025年に入ってからも、AIやメタバース関連、あるいは新しいゲームプラットフォームなどでSAFTを利用した資金調達の事例が増えています。
AI技術とブロックチェーンを組み合わせたプロジェクトがシードラウンドやシリーズAの段階で数千万ドル規模を調達する際に、SAFTを活用したという報道が散見されます。
日本市場に目を向けると、国内のブロックチェーンゲームスタートアップがシンガポール法人を設立し、海外投資家からSAFTで数百万ドルを集めたとする事例が報じられています。
金融庁の認可を得ていないトークン販売を国内で行うリスクを避けるため、海外拠点を経由して資金を調達する動きは今後も続くかもしれません。
日本市場での動向
日本では、トークンの取り扱いについて金融商品取引法や資金決済法など複数の法律が関係します。
明確なガイドラインがまだ整備されていない分野もあり、SAFTのような私募契約を国内投資家向けに行うには法的ハードルが高いケースがあります。
実際には、海外から資金を集める際にSAFTを利用することで、日本国内の厳しい規制を回避している事業者があると見られています。
国としてWeb3を推進すると発信しているものの、実務面での対応はまだ追いついていない面があるようです。
海外市場での動向
北米やヨーロッパでは、引き続きベンチャーキャピタルがWeb3・AI関連のプロジェクトを探索しており、SAFT契約で投資を行う動きが報じられています。
2024年末にかけて大規模な調達をしたプロジェクトの中には、ヘルスケアやサプライチェーン管理など、実社会の課題解決を志向したユースケースも増えており、トークンを単なる投機対象にとどめず、ユーティリティを重視する企業が増えていると言われています。
SECは依然として暗号資産の取り扱いに厳しい姿勢を維持しているため、SAFTを利用した場合でも投資家保護に欠けると判断されれば摘発の対象になる可能性があります。
それでも大手投資家との間で合意しやすい枠組みとしてSAFTが利用され続けているのは、早期開発段階のプロジェクトにとって株式発行ではない調達手段が魅力的だからかもしれません。
規制強化・緩和の最新情報
2025年には、暗号資産関連の法整備が国際的に検討される流れが続いています。
G20や国際決済銀行(BIS)などでもデジタル資産の規制を統一的に整備するよう提言が出されており、SAFTが標的になるかどうかは定かではありませんが、将来的に私募契約についてもルールが明確化される可能性があります。
米国では、政権交代による政策変更がどの程度SAFTに影響するか注目されています。
SECの委員長が暗号資産に対して厳しいスタンスを取り続けるならば、大型プロジェクトが米国内で活動することは難しくなるかもしれません。
もっとも、連邦レベルではなく州レベルで独自の法整備を進める動きも出ているため、一枚岩とはいえない状況です。
米国における重要アップデート
2024年には、いくつかの大手暗号資産取引所に対する法的措置が話題になりました。
未登録証券にあたるとみなされた複数のトークンが上場廃止になったというニュースもあり、トークンの法的性質を巡るコンプライアンス意識がさらに高まっているといわれています。
SAFT契約自体への直接的な新ルールはまだ出ていませんが、今後は投資家やプロジェクト双方がSECへの報告や情報開示により慎重になる可能性があります。
特に、トークンを配布するタイミングと方法が証券法の解釈に抵触しないように設計するプロジェクトが増えるでしょう。
その他主要国の動き
ヨーロッパでは、MiCA(欧州連合の暗号資産市場規制)に関する詳細ルールが続々と固まってきています。
SAFTに関して明示的に触れる部分は限られているものの、トークンを発行する際の要件や認可プロセスが厳格化されれば、私募だから大丈夫という安易な発想は通じなくなるかもしれません。
シンガポールや香港では、暗号資産ビジネスに比較的寛容な姿勢を見せつつも、投資家保護を強化する動きもあります。
大規模詐欺や破綻事件が相次いだ影響もあり、法律を遵守しつつSAFTを実施するには専門家の助言が不可欠です。
まとめ
SAFT(Simple Agreement for Future Tokens)は、将来のトークンを前提とした投資契約であり、早期に大きな資金を調達しやすい手法として広く浸透してきました。
ICOのように不特定多数に一度にトークンを販売するわけではないので、法的リスクが抑えられると期待された時期もあります。
しかし、実際にはSECが大手プロジェクトを摘発した例が示すように、SAFTを使えば常に安心だと言える状況ではありません。
それでも多くのプロジェクトや投資家がSAFTを利用し続けているのは、株式発行なしで大口資金を得られる可能性があり、開発に集中しやすいからです。
投資家にとっては、有望プロジェクトのトークンをまだ一般市場に出る前に割安で手に入れられるかもしれない魅力があります。
もっとも、プロジェクトがうまく進行しなかったり、規制当局による法的措置が取られたりすると、大きな損失を被るリスクも否定できません。
2025年4月の現時点でも、SAFTを巡る法的な取り扱いは明確に定まったとは言いがたいです。国際的な暗号資産規制が整備されていく過程で、SAFTの扱いが将来どのように変わるか注目が集まっています。
特に米国では、認定投資家向けの私募に対しても詳しい審査が行われる兆候が見られるので、プロジェクトや投資家の双方が法的リスクを十分に理解したうえで進める必要があるでしょう。
結論としては、SAFTは多くの実績がある一方で、トークンの法的性質や投資家保護の観点が常に問われる手段となっています。
魅力とリスクの両面を理解したうえで、最新の規制情報を注視しつつ参加を検討することが重要だといえそうです。

