
StartaleとSBIが新ブロックチェーン「Strium」を発表、金融市場の完全オンチェーン化へ

日本のWeb3エコシステムを牽引するStartale Labs(スターテイル・ラボ)と、金融コングロマリットであるSBIホールディングスが、金融市場の構造を根本から変革する新たなインフラを発表した。
2026年2月5日、両社は戦略的合弁会社を通じて、機関投資家向けの金融取引に特化したレイヤー1ブロックチェーン「Strium(ストリウム)」を立ち上げると宣言した。この新チェーンは、外国為替(FX)、トークン化された株式、そして現実資産(RWA)の取引を、既存の金融システムの制約から解き放ち、24時間365日稼働する「オンチェーン市場」へと移行させることを目的としている。
金融特化型レイヤー1「Strium」:19兆ドル市場への架け橋
Striumは、汎用的なブロックチェーンとは一線を画す、金融機関の厳しい要求水準を満たすために設計されたエンタープライズグレードのレイヤー1ブロックチェーンである。発表によれば、このプラットフォームは、トークン化された資産市場が2033年までに18.9兆ドル(約2800兆円)規模に達するという予測を見据え、その流動性の受け皿となることを目指している。
Startale LabsのCEOである渡辺創太氏は、「金融市場をオンチェーン化することは、人類の経済活動を次の段階へ進めるための必須条件だ」とし、Striumが既存の金融(TradFi)と分散型金融(DeFi)のギャップを埋める存在になると強調した。Strium上では、株式や債券といった伝統的資産がトークン化され、スマートコントラクトによって即時決済(T+0)が可能となる。これにより、現在の金融システムが抱える「取引時間の制限」や「決済の遅延」、「高コストな仲介プロセス」といった構造的な非効率性が解消されることが期待される。
FXとRWAの流動性革命:SBIグループの勝算
SBIホールディングスの会長兼社長である北尾吉孝氏にとって、Striumは同グループが長年推進してきた「金融エコシステムへのブロックチェーン導入」の集大成とも言えるプロジェクトだ。SBIはすでに証券、銀行、暗号資産取引所といった広範な金融インフラを保有しており、これらをStriumという共通基盤の上で接続することで、グループ内外の流動性を統合しようとしている。
特に注目されるのが、世界最大級の取引高を誇るFX市場へのアプローチだ。Striumは、オンチェーンでの高速かつ透明性の高い為替取引を実現し、さらにそれを株式や不動産といったRWAの取引とシームレスに連動させる機能を持つ。例えば、投資家は保有する米国株トークンを担保に、瞬時に日本円のステーブルコインを借り入れ、それをFX取引の証拠金として活用するといった、従来のシステムでは数日を要した資金移動を数秒で完結させることが可能になる。これは、機関投資家の資本効率を劇的に向上させるイノベーションである。
「Soneium」との棲み分けと渡辺創太氏のマルチチェーン戦略
Startale Labsといえば、ソニーグループとの合弁で開発を進めるイーサリアム・レイヤー2「Soneium(ソニューム)」が知られているが、今回のStrium発表により、渡辺氏の描くマルチチェーン戦略の全貌がより鮮明になった。Soneiumがエンターテインメントやコンシューマー向けアプリケーション(B2C)を主戦場とする「Web3の体験層」であるのに対し、Striumは金融取引や資産決済(B2B)を担う「Web3の経済層」として機能する。
両チェーンは将来的には相互運用性を持つことが予想され、Soneium上のゲームやクリエイター経済で生まれた価値が、Strium上の金融インフラを通じて現実世界の資産価値と交換される――そんな巨大な経済圏の循環が日本から生まれようとしている。Striumのローンチは、日本が「失われた30年」を取り戻し、Web3時代の金融ハブとして世界に再浮上するための強力なエンジンとなるかもしれない。
まとめ
GENAIStartale(スターテイル)とSBIホールディングスが、機関投資家向けの金融取引に特化した新しいレイヤー1ブロックチェーン「Strium(ストリウム)」を発表したことは、ブロックチェーン技術が単なる投機の場を超え、伝統的な金融システムの「基幹インフラ」へと本格的に組み込まれ始めたことを示しています。
これは、既存の金融取引における時間的な制約や物理的な摩擦を解消し、あらゆる資産が24時間365日、オンチェーンで安全に流通する「次世代の金融市場」の構築に向けた大きな一歩です。
背景として、これまでにも株式や不動産などの現実資産(RWA)をトークン化する動きはありましたが、既存のブロックチェーンでは処理速度やセキュリティ、さらには厳格な金融規制への対応が課題となっていました。今回発表されたStriumは、機関投資家が求める高い信頼性と、分散型台帳技術の持つ透明性・効率性を両立させるためにゼロから設計されています。SBIが持つ膨大な金融インフラや規制対応のノウハウと、Startaleが培ってきた最先端のウェブ3技術が融合することで、為替(FX)やトークン化された株式、不動産、ステーブルコインなどが一つのネットワーク上でシームレスに、かつ瞬時に取引・決済される環境が実現しようとしています。
技術的なメリットとしては、従来の金融システムでは数日を要していたクロスボーダー(国境を越えた)決済を、スマートコントラクトによってほぼ即時に完了できる点や、資産を小口化することで個人投資家の参入障壁を下げ、市場の流動性を劇的に向上させる点が挙げられます。
一方で、課題やリスクも存在します。機関投資家向けという性質上、特定のバリデーター(検証者)によって管理されるなど、中央集権的な運用に寄らざるを得ない面があり、パブリックチェーン本来の「完全な非中央集権性」とのバランスをどう取るかが問われます。また、各国の法的枠組みとの整合性や、サイバー攻撃に対する強靭性の確保も、金融インフラとしては極めて高い水準が求められます。
今後の展望としては、このStriumが日本国内の枠を超え、アジアや世界の金融機関を巻き込んだ「グローバルな標準プラットフォーム」へと成長し、伝統金融とブロックチェーンが完全に融合した新しい資本市場の形を世界に示せるかどうかに注目すべきです。

