
ホワイトハウスでステーブルコイン協議が再開:銀行と仮想通貨業界が「利回り禁止」で激突

ホワイトハウスが、銀行業界と暗号資産(仮想通貨)業界の代表者を招き、停滞しているステーブルコイン規制およびデジタル資産市場構造法案に関する協議を再開した。2026年2月に行われたこの一連の会合では、特にステーブルコインの「利回り(報酬)」付与を巡る激しい対立が焦点となっている。伝統的な金融機関が預金流出への懸念から厳格な禁止を求める一方で、暗号資産業界はイノベーションの阻害を理由に反発しており、米政府は2月末までの解決を目指して調整を急いでいる。
銀行業界が提示した「利回り禁止原則」の衝撃
2月10日に開催された2回目の非公開協議において、米国銀行協会(ABA)や銀行政策研究所(BPI)などの銀行側グループは、「利回りおよび利息禁止原則(Yield and Interest Prohibition Principles)」と題された文書を提示した。この提案は、ステーブルコインの保有者に対して、直接・間接を問わずいかなる形態の金融的・非金融的な報酬(ステーキング報酬やキャッシュバックなど)を提供することも全面的に禁止すべきだという、極めて厳格な内容を含んでいる。
銀行側がこれほど強硬な姿勢を見せる背景には、利回り付きのステーブルコインが普及することで、地方銀行などの預金が流出し、住宅ローンや中小企業向け融資の原資が損なわれるという強い危機感がある。銀行連合は共同声明で、安全で健全な金融システムを維持するためには、ステーブルコインが既存の銀行預金と不当に競合することを防ぐ法的枠組みが不可欠であると強調した。
仮想通貨業界の反発と規制の「抜け穴」を巡る攻防
これに対し、コインベースやリップル、ブロックチェーン協会などの暗号資産業界側は、銀行側の提案は過剰な規制であると強く反発している。業界団体は、特定の活動に対するインセンティブとしての報酬はユーザー体験の向上に寄与するものであり、一律の禁止は米国内の技術革新を後退させると主張。特に、現在審議中の「クラリティー法(CLARITY Act)」や「GENIUS法」の施行において、報酬の定義や例外措置をどの程度認めるかが最大の争点となっている。
ホワイトハウスの暗号資産政策会議は、双方に対して具体的な条文の修正案を持ち寄るよう指示しており、議論は現在、上院銀行委員会へと持ち越されている。トランプ政権のスコット・ベセント財務長官は、ステーブルコインが米国債の重要な買い手となり、ドルの覇権を強化する可能性を認めつつも、金融システムの安定性を損なわない「スマートな規制」が必要だとの立場を示した。2月末に向けた合意の成否が、2026年の米国におけるデジタル資産の法的地位を決定づけることになりそうだ。
まとめ
GENAIホワイトハウスと大手銀行、そして暗号資産推進団体がステーブルコインに関する協議を再開したというニュースは、デジタル資産の規制環境が「排除」から「共存」へと明確にシフトし始めたことを示しています。
これは、これまで対立構造にあった伝統的な金融機関と新しい技術を推進する業界が、法定通貨と連動するデジタル資産の標準的なルール作りに向けて、ついに同じテーブルについたという重要な転換点を意味しています。
今回の協議の背景には、ステーブルコインが単なる投資の手段を超えて、決済インフラとしての実用性を急速に高めている現状があります。政府や銀行側は、ステーブルコインがドルのデジタル的な裏付けとして機能することを認めつつも、その発行体が十分な資産を保有しているか、また顧客の資金が適切に守られているかという透明性を強く求めています。これに対し、暗号資産業界側は、過度な規制がイノベーションを阻害することを懸念しており、今回の対話は、双方が納得できる「デジタル資産法案」の早期成立を目指すための調整の場となっています。
技術的なメリットとしては、銀行がステーブルコインを公式に扱うことで、送金コストの劇的な削減や、24時間365日の即時決済が可能になる点が挙げられます。また、プログラム可能な「スマートコントラクト」を活用することで、契約と支払いを自動化する新しい金融サービスも期待されます。一方で、課題やリスクも依然として存在します。銀行がステーブルコインの発行に関与しすぎることで、特定の企業や機関による「中央集権化」が進み、ブロックチェーンの自由な特性が損なわれる恐れがあります。また、既存の銀行システムに依存しない形での普及が進むと、従来の金融安定性が揺らぐという当局側の警戒感も根強く残っています。
今後の展望として注目すべきポイントは、この協議を経て策定される新しい規制枠組みが、米国だけでなく「世界のデファクトスタンダード(事実上の標準)」となるかどうかです。米国の規制が明確になれば、他の国々もそれに追随する可能性が高いため、この対話の結果が世界の金融システムのデジタル化を加速させる決定打となるのか、その推移を注視する必要があります。

