
イーサリアム財団が2029年までの野心的なロードマップ「Strawmap」を発表、秒単位のファイナリティ実現へ

イーサリアム財団は、今後10年を見据えたこれまでで最も野心的なロードマップの草案を公開した。財団の研究者であるJustin Drake氏(ジャスティン・ドレイク氏)によって「Strawmap(ストローマップ)」と名付けられたこの文書は、2029年までに7回のハードフォークを実施するという長期的なビジョンを示している。
単なる四半期ごとの目標にとどまらず、ネットワーク全体の速度、セキュリティ、そしてプライバシーを抜本的に向上させるための道筋が描かれている。
2029年に向けた7つのハードフォークと「5つの北極星」
新たに提示されたStrawmapでは、今後約4年間にわたりおよそ6ヶ月のペースで計7回の主要なプロトコルアップグレードを実施する計画が立てられている。これらのアップグレードは、ネットワークに参加するすべてのノードが実装しなければならないハードフォークという最も重要度の高い形式で行われる。
計画の中心には「北極星(ノーススター)」と表現される5つの主要な目標が掲げられている。その中でも最大の目玉となるのが、トランザクションのファイナリティ(取引の確定)時間を劇的に短縮することである。現在の仕様から480倍もの時間短縮を図り、2029年までに秒単位でのファイナリティ実現を目指している。さらに、耐量子暗号の導入やシールドトランザクション(秘匿化取引)といった高度なセキュリティやプライバシー機能の強化もこのロードマップに組み込まれている。
基盤レイヤーの処理能力をギガガス規模へ拡大
ファイナリティの短縮に加えて、レイヤー1そのもののスループット(処理能力)を飛躍的に向上させることも重要な目標とされている。具体的には、「ギガガス」と呼ばれる規模に到達させ、秒間約1万トランザクションを処理できる強力な基盤レイヤーの構築が計画されている。また、レイヤー2ネットワークにおいても「テラガス」レベルというさらに上の次元の処理能力を実現することが視野に入れられている。
ロールアップ中心主義からの脱却と新たなスケーリング戦略
今回のロードマップが注目を集める背景には、イーサリアムのエコシステム全体における戦略の転換がある。イーサリアムの共同創設者であるVitalik Buterin氏(ヴィタリック・ブテリン氏)は今月に入り、これまで長らく推進されてきたレイヤー2のロールアップを中心とするロードマップはもはや意味をなさないと発言し、市場に大きな波紋を呼んだ。
Buterin氏によれば、多くのロールアッププロジェクトが真の分散化を達成できていない現状があるという。それに加えて、イーサリアムの基盤レイヤー自体が予想を上回るペースでスケーリングを果たしている点も方針転換の理由として挙げられている。今回公開されたStrawmapは、イーサリアムがレイヤー2に過度に依存するのではなく、基盤となるレイヤー1自体の性能を極限まで高めようとする強い意志の表れと言える。開発者や研究者間の議論を促進するための草案という位置づけではあるものの、イーサリアムが今後数年間で目指す方向性を決定づける重要な羅針盤となることは間違いない。
まとめ
GENAIイーサリアム財団(EF)が、今後数年間における最も野心的とされる最新のロードマップを発表しました。その最大の目標は、2029年までにネットワークの「ファイナリティ(取引の確定)」をわずか数秒で完了させることにあります。
これは、現在のイーサリアムが抱える処理速度の限界を根本から打破し、伝統的な金融インフラやリアルタイム決済に匹敵するパフォーマンスを目指す極めて象徴的な計画です。
今回のロードマップの背景には、イーサリアムを単なるスマートコントラクトの実行基盤から、地球規模の決済・計算インフラへと進化させたいという強い意図があります。現在のイーサリアムでは、取引が完全に確定するまでに数分から、状況によってはさらに長い時間を要することがありますが、これを「数秒」に短縮することで、ユーザー体験を劇的に向上させようとしています。この進化は、ヴィタリック・ブテリン氏が提唱してきた「The Surge」や「The Scourge」といった一連のアップグレードの集大成ともいえるものです。
技術的なメリットとしては、取引の確定が高速化することで、DeFi(分散型金融)における裁定取引や高頻度取引がよりスムーズになり、資本効率が飛躍的に高まる点が挙げられます。また、L2(レイヤー2)ソリューションとの連携もさらに強化され、ネットワーク全体の分散性を維持したまま、膨大なトランザクションを処理できるようになります。一方で、リスクとしては、このような急進的な技術変更がネットワークの安定性やセキュリティに与える影響が懸念されます。特に、数秒でのファイナリティを実現するためには、コンセンサス・アルゴリズムの複雑な変更が必要となり、開発プロセスにおける予期せぬバグや遅延のリスクも無視できません。
今後の展望としては、2029年という目標年に向けて、どのような中間ステップ(マイルストーン)が踏まれるのかが焦点となります。イーサリアムがこの野心的な目標を達成できれば、既存の銀行システムや中央集権的な決済プラットフォームに対する優位性は決定的なものになり、ウェブ3時代の真の基盤としての地位を不動のものにするでしょう。

